戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第25章 藤壺の巻―佐助中将-<R18>
「駄目だよ、佐助くん。こんなの駄目。佐助くんは葵姫を愛さないと…!」
「最後の最後でも舞さんは葵姫の事を持ちだすんだな。
せめて別れの時くらい、俺を慕ってもらいたいものだけど」
「わがまま言わないで、佐助くん。
貴方の相手は葵姫なのだから。だからここに来ては駄目」
舞の説得を聞かず、佐助中将は藤壺を去り、入れ替わりに女房達が戻ってきた。
「相変わらず佐助中将様は清々しく凛々しいお姿ですわね」
「ほんに。あのお姿の麗しさ、中宮様とご一緒にいらっしゃるとお二人とも輝くばかりでございますわね」
口々に女房達が佐助中将を褒めるのも、もう、舞には煩わしい。
「佐助様から帝の内密のお話しを賜り、少し疲れました。
休みます」
そう言って一人帳台へ伏すと、二人の仲を知る王命婦(おうのみょうぶ)が中へ入り、舞へ衾を掛ける。
「王命婦、あのかたを、もう、ここへ入れてはいけません」
「舞様…」
真剣な表情で舞は王命婦へ言う。
佐助中将を手引きしたのは王命婦と知ったからこそ、厳しく彼女へ言わないと、佐助中将の熱意に負けてまた藤壺へ引き入れてしまうだろう…
そう舞は思うからこそ、王命婦へ命ずる。
「次にあのかたを藤壺に引き入れたら、貴女の出仕を…止めざるを得ません」
きっぱり言い切る舞に、王命婦はせめて佐助中将をかばう発言をするつもりでいたが、言葉を無くした。