戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第25章 藤壺の巻―佐助中将-<R18>
「駄目って言ったでしょう?お願いだから帰って、もう、来ないで…」
「嫌だ、俺は舞さんを諦めきれない」
「王命婦が引き入れたのね?」
「違う、彼女は何もしていない。俺が勝手に、里下がりした舞さんの邸に来たまでだ」
佐助中将は狂おしく舞に迫り、舞はますます逃れようとする。
それでも最後には佐助中将を受け入れ、また互いに愛を交わす。
舞のからだに異変が起きたのはしばらくしてからだった。
「中宮様にはご懐妊なさったようです。
物の怪が憑いて、なかなか懐妊の兆しが表れなかったとの事でございます」
遣いの者が、帝に申し上げると帝は大層喜ばれ、早く藤壺へ戻ってくるよう文を書かれた。
舞は恐ろしくてならない。
時期からして、妊娠した相手は帝ではなく、佐助中将。
佐助中将もそれに気付き、また舞の許に忍び込んできた。
「だから言った事でしょう…!私は恐ろしい。帝のお子でない事が発覚したら、弘徽殿女御様がさそお喜びなさるでしょう…それに帝を裏切るなんて、そんな恐ろしい…」
嘆く舞に、本来の冷静さをかえって取り戻した佐助中将は言う。
「それでは策を授けるから聞いて。一度舞さんは藤壺へ戻る。
しばらくして本来の出産時期だからと、また退出する。
そこから二月(ふたつき)程しないと実際のお子は産まれないから、物の怪に憑かれたと祈祷を呼んで、そのまま二月やり過ごして出産を迎える」