戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第25章 藤壺の巻―佐助中将-<R18>
その人に初めて会った時、まだ光源氏は中将にあらず、一人の佐助と呼ばれる若君だった
女人は、先々帝の四の宮でいらした。
優れた器量と評判で、光源氏の母、桐壺更衣を亡くした帝が入内を望んだが、四の宮の母が拒否をされ入内は無いと思われたが、その母が亡くなった事から帝への入内が決まり、藤壺へお越しになった。
「貴女は本当に、佐助の母にそっくりだ。
どうぞ嫌がる事なく、弟として可愛がってあげて欲しい」
父帝はそう言って、佐助と、藤壺女御として入内した舞を引き合わせた。
ほとんど年の差の無い母と息子だったが、成長するにつれ、息子はおとこになり、姉として慕った感情は変化してゆくのだった。
「舞さん!」
佐助が強引に藤壺こと舞の御簾を引き上げ、入り込んだ時、舞は恐ろしいものを見るように佐助を見、檜扇と髪の毛で顔を必死に引き隠していた。
成人したばかりの佐助は、まだ少年とまごう容姿であったものの、少年ではなく立派な一人のおとことして周囲には認められた存在だった。
だから舞は帝以外のおとこが入ってきた、と驚き、恐怖に駆られる。
その姿を見て、佐助はようやく思いつく。
『俺は母である藤壺の宮を、ひとりのおとことして欲しているのか…?』