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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第23章 女三ノ宮の巻―信玄中将-<R18>


信玄中将の内面には、薫を疎ましく思う気持ちが無い訳ではなかったが、表面上は自分の子として可愛がりはしていた。

その後、舞も女二ノ宮も不思議な事に懐妊する事はなかった為、舞と衛門の督の愛情は細やかに育ち、薫へもたっぷりの愛情を注ぎ、すくすくと薫は育っていった。

「おや、ほら、幼児がたけのこをかじっている。ずいぶんいやしい事をしているな。
早くたけのこを片付けなさい」

ある日、信玄中将が舞を訪れると、捧げもののたけのこに手を出し、がじがじかじっている薫を目にした。

「歯が生えてきてかゆいんです、薫は」

柔らかく答えるのは舞。

すっかりじゃじゃ馬振りは影を潜め、おっとりと愛らしさを醸し出す美しい内親王に変化していた。

信玄中将はその様子を見て思う。

『舞を変化させたのはあきらかに衛門の督だ。
この二人には薫も生まれ、やはりかけがえのないつながりを持っているのだろう。
そして、本当なら衛門の督の父親も、自分の孫として可愛がりたいだろう…』

残念ながら舞の産んだ薫は、信玄中将の子として育つ。

信玄中将は薫を抱き上げて、言う。

「おまえの成長を俺はずっとは見られないが、おまえは俺達全てをつなぐ鎹(かすがい)だ。
不思議な生まれを呪ったりせず、あるがまま生きていくのだぞ」

不思議な縁で生まれた薫は、黙っていても自身のからだから涼やかな芳香を燻らせ、やがて宇治にひっそりと忘れ去られた時の中に住まう、美しい姫君達に心を寄せるが、それは少し先の未来のお話し。


〈女三ノ宮の巻 終〉
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