戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第23章 女三ノ宮の巻―信玄中将-<R18>
夜明けが近付いてくると、小侍従がそっと声を掛ける。
「お二方、そろそろでございます」
「…もう、そんな刻限か…」
衛門の督はむくりと起き上がり、狩衣を一人でさっと着付けた。
舞は横になったまま、衛門の督を見つめていた。
「また…会える?」
おそるおそる言う舞に、今迄の傍若無人さはなく、衛門の督に甘えた様子が見てとれ、衛門の督はそっと舞に口付けた。
「勿論。こうなったら、二人で堕ちるところまで堕ちましょう…」
「うん、衛門の督となら、どこまで堕ちても良いよ」
素直に返す舞が愛しいと、衛門の督は帰らなくてはならないのに、舞を抱き締めて囁く。
「舞、そんな可愛い事を言われると、こちらを去り難くなるな…」
それでも去ろうとする衛門の督に、おんなのものではない足音が聞こえてきた。
「…どういう事だ?信玄様がここに…?」
瞬時に青ざめる衛門の督だが、御簾を掲げて信玄中将が入ってくる姿を見、信玄中将の正室に手を出した事を知られ、自分の全ては終わった、と倒れそうになる程の恐怖が襲い、その場でちからを無くしてへたりこんだ。
舞は信玄中将が覗くのを知っていたので、何とも思わず平然とした表情で起き上がり、脱ぎ散らかした着物を肩に軽くかけ、信玄中将がこちらに入ってくるのを待っていた。