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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第3章 末摘花の巻―光秀中将-<R18>


やっぱり駄目か。

男でもないので強行突破する理由もなく、そのまま引き下がるしかなかった。

その瞬間、命婦がふと、ひらめいた。

『あのかたに姫の事を話せば…!』



現帝の二の宮で見目麗しく、全てにおいて完璧なあのかた、光秀中将様。

普通なら口をきくのも憚られるような立場だけれど、命婦にとっては光秀中将は乳兄弟。

まだ普通の女房より親しく口をきける立場にはあるのだ。

ちょっと意地悪だけれど、そこもたまらないと宮中の女房にも人気のかた。

あのかたなら舞姫の頑なな全てを溶かしてくれるかもしれない。

命婦は光秀中将が興味を持って、この邸に来てもらえるよう話しをしなくては、と考える。

姫の姿がわからないのが心配だが、ここに来てもらえば何とでもなるだろう、と命婦は思う。

何故なら光秀中将の性格からして、年頃の娘を前にしてその娘に手を出さずに黙って帰るとは思えないからだ。

何かここに来てもらう為に、舞姫の得意な楽器でも演奏してもらおうか、と命婦は舞姫に何か得意な楽器があるか聞いてみる。

「え…そうねぇ…お父様が御存命の時に、ごくたまに琴の琴(きんのこと)を教わったわね…それくらいかしら…ねぇ…」

琴の琴、それで充分、光秀中将を釣れるわ、と命婦は内心にんまりした。
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