戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第23章 女三ノ宮の巻―信玄中将-<R18>
そして、若いおとこ達が集まり、蹴鞠が寝殿前で行われる日がやってきた。
若い貴族のおとこ達が、「ありゃ」「ありゃ」と声を掛けながら、ぽーんぽーんと鞠が青空の中を軽快に舞う。
特に蹴鞠が上手なのは衛門の督で、女房達が素敵ねぇと騒いでいた。
舞はろくに蹴鞠を見る余裕も無く、どうやって猫を御簾へからげさせる役目を果たさせるか、その事ばかり考えていた。
信玄中将もこの蹴鞠を見ているはずだが、舞のところではなく紫の上のいるほうにいる為、こちらは女房と自分だけの呑気な状態だった。
だからこそ、出来る。
蹴鞠を終えて、夕霧と衛門の督の二人が、近くに腰を下ろした。
桜を眺めながら、衛門の督がちらりちらりとこちらを見ているのがわかる。
『よし今よ、行って』
舞は猫にいたずらして、猫が自分から御簾へ突っ込ませるようにした。
猫が走って衛門の督のいる近くの御簾へ突っ込み、外へ出ようとするが外へ逃げないように結び付けた紐がひっかかって出られず、猫はもがいて御簾をからげる。
『よし、思った通り!衛門の督、こっちを見なさい!』
舞はわざと立ち上がり、他の方向を向いて、でも自分の姿が衛門の督にしっかり見えるように檜扇で顔を隠す事もせずにいた。
衛門の督はからげた御簾の奥に立つ、人形のように美しい舞の姿を目に宿した。
『こんなに舞姫は美しいかただったのか…!』