戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第3章 末摘花の巻―光秀中将-<R18>
そのおんなぎみには、気の毒な噂しかなかった。
光秀中将には惟光の他に、大輔(たゆう)の命婦(みょうぶ)という乳兄弟がいた。
彼女は宮仕えに出て、常陸の宮邸を里下がりの宿としていた。
常陸の宮ご自身は既に亡くなられており、その屋敷には残された姫君が一人ひっそりと暮らしている。
その常陸の宮の姫には噂があった。
―情感ある歌はもとより季節の歌すらまともに詠めない
―父宮に似て時代遅れ
―常にぼんやりしていて頭のねじが一本足りない
―鼻の先が赤く垂れて容姿がよろしくない
この時代、髪の毛が緑色で長く艶やかであれば美人の代名詞と言われているが、それだけではなく、やはり最終的に美しいかどうかは「顔」のつくりも重要だった。
「舞姫さま」
大輔の命婦は里下がりし、常陸の舞姫宮に挨拶にあがった。
常陸の宮邸はあちこち崩れ、荒れ果てた様が何とも不気味に見える。