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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第19章 玉鬘の巻―政宗中将-


妻に物の怪が憑き、態度が豹変したのだった。

妻は手近にあった香炉を、髭黒に投げつけ、声高らかに笑う。

「ほほほほ、ざまあ、あれ!貴方様には灰かぶりの姿がお似合いだわ!!」

部屋中、もうもうと灰だらけになり、髭黒の衣装には穴が開いてしまい、他の衣装を用意してもからだ中、灰だらけで、出掛けられる状況ではなくなってしまった。

髭黒は物の怪の事だから仕方ないと思いながらも、妻の姿を忌々しく思う。

舞には「こちらに病人が出たので」と行かれなくなった旨、文を送るが、舞からは何も返事が無く、右大将はがっかりしたと噂で聞いた。



最初に語りに参りました乳母でございまして、また最後に語らせていただきとうございます。舞様は尚侍としてようやく承香殿(しょうきょうでん)へ出仕なさいました。

出仕なさった途端、帝から何かされるのではないかと危惧した髭黒様から早く退出しなさい、としつこく何度も催促され、仕方なく碌に帝に挨拶もせず早々に退出なさいました。

髭黒様は舞様が戻る場所を六条院ではなくご自分のお邸にし、とうとう舞様は政宗様の手から離れ、髭黒様の手に渡ってしまわれました。

政宗様は後悔なさったようですが、今更どうにも出来ません。

文を遣わし、私共を髭黒様のお邸へ送ってくださり、舞様が新しい場所でつつがなく生きていけるよう、冷静に対応くださりました。

そして、あるしめやかな雨の降る春の日、そっと文が一通、六条院から運ばれて参りました。

  青柳も煙れる頃の春雨に ふるさと人を如何に偲ぶや
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