戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第1章 夕顔の巻-政宗中将-<R18>
「母更衣が亡くなり、祖母が亡くなり、父帝に引き取られた。
かわいそうな子だから、と引き回され、父帝の女人がたの御簾の中に引き入れられた。
元服し、男となった俺は、父帝の御簾の中に入る事は出来なくなり、母替わりに相手をしてもらった女人がたから引き離された。
どうだ?俺は父帝のおんなぎみに相手をして欲しかったんじゃないんだ。
俺は父帝が一人の俺の父として、相手をしてくれれば良かったんだ。
だが…俺は父帝に振り回されて育てられた」
「政宗…」
「父帝が溺愛する息子だから、俺は黙っていてもなんでも手に入る。
地位もおんなも財宝も。だが、たった一人のおんなだけ、俺は望んでいる」
政宗中将は舞をじっと見つめる。
「俺は舞、おまえを愛してる。戯れでもない。愛らしくて奔放で俺の身分ではなく、俺自身を見てくれる。俺はそんな、俺を俺として見てくれるおんなを探していた」
政宗中将はぎゅうと舞を抱き締める。
「舞、俺と共に生きてくれないか」
真剣みを帯びて、深い深い青に染まる政宗中将の瞳。
舞はその瞳に囚われる。
舞は政宗中将のからだをそっと抱き締める。
「…私で良いの?」
その答えが全てだった。
「…ありがとう」
政宗中将は舞のからだを更にきつく抱き締める。
そして、二人は全てを忘れて、何度も何度も愛し合う…
美しく繊細で、父帝に愛され、おんなぎみの嫉妬をうけた、母の桐壺の更衣。
嫉妬したおんなぎみの前に、父帝は平然と更衣の忘れ形見である俺を連れ歩いた。
そして、男になった俺に添伏を一人与える事で、振り回した事を捨て去る父帝。
俺はおんなや後ろ盾が欲しかったのではない。
欲しかったのは、ただ一人しかいない父としての愛情。
だから。
俺を俺として愛してくれるおんなを探していた。
そして。
ここに、俺を愛してくれ、俺が愛するおんなを、見付けた…
〈夕顔の巻 終〉