戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第19章 玉鬘の巻―政宗中将-
その日。
政宗中将は女房からの報告で、大きな衝撃を受ける。
舞の許へおとこが忍び入り、彼女の全てを奪った事を。
女房が手引きをし、舞に、髭黒を引き合わせたのだ。
美貌の娘を見たおとこが黙って帰るか?
帰るわけないだろう!
髭黒はそのまま、舞を犯し、自分の物にした。
政宗中将は冷静な権力者として、舞が髭黒の手に堕ちた事をむしろ喜ばなくてはならない。
髭黒の妹は、春宮の母であるから、次世代に確実に髭黒は権力を握るのだから。
髭黒は三日間、舞の許へ通う。
政宗中将は『やられた』と唇を噛み、だが、作法に則り所顕し(ところあらわし)の宴を設け、髭黒はおとこの手がついていなかった美しい娘を手中にした事で、喜々として用意された餅を食したらしい。
舞の本当の父親である頭の中将は、娘の処遇に正直困っていたので、髭黒が自分のものにした事をむしろ喜んでいた、という。
舞は、優美さと無縁な髭黒が嫌で仕方ないらしい。
しかし、政宗中将は本当の父親でないと知られた以上、同じ邸内に住んでいながらも、そう簡単に舞に会いに行ける状態ではなくなってしまった。
その上、髭黒はこうなったからには、一刻も早く、舞を引き取りたいと政宗中将に伝えてきた。