戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第19章 玉鬘の巻―政宗中将-
政宗中将が言うと舞はおっとりと答える。
「風が恐ろしくて寝付けませんでした。暁頃にようやく寝付けましたものですから」
「風はそんなに恐ろしかったか?」
政宗中将は舞の肩を引き寄せ問い、舞は少し頬を染めはい、と答えた。
「そうか、そんな恐ろしい状況に一人でさせてすまなかったな」
そして、政宗中将は舞を自分の胸に抱き留める。
舞は身を固くして抗うが、政宗中将が更に身をもたせかけると、諦めたようにからだの力を抜いてきた。
政宗中将の胸の中で、二人の語らいは続くものの、最後の一線はお互い超えそうで超える事は、無い。
舞はなよやかに、政宗中将のする事を拒否をしないながらも、最後の最後は拒否をし、政宗中将は自分の立場から、舞を紫の上同様に愛する事は無いとはっきり気が付いている。
そんな、あやふやな父と娘。
そして、舞の処遇に困った政宗中将は、舞に打診し、女官の最高峰、尚侍として宮仕えさせる事にする。
何故尚侍?入内しないのか?
政宗中将は秋好中宮を抱えており、頭の中将は弘徽殿の女御を抱えており、既に帝へ駒を入内させている以上、これ以上の駒は必要ない。
しかしながら舞は行幸なさる帝を拝見し、すっかり帝の美しさ、凛々しさに目を奪われたらしく、帝へ仕える事を了承してきた。
政宗中将は頭の中将に断り、尚侍としての職務が出来るよう、支度をしてきた。