戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第19章 玉鬘の巻―政宗中将-
そして、舞の上に包み込むように抱きかかえると、舞は何が起こるかと恐怖でふるりと小さく震えているのがはっきりとわかった。
「どうした?こんなに震えて」
わざと少し明るい声を出して聞いてみるが、もう、政宗中将は耐えるのがやっとだった。
-夕顔、おまえが生きていれば、きっとこんな風に娘に手は出さなかっただろう。
-しかし、おまえは俺の前でいなくなってしまった。
-俺は生贄として、おまえの生まれ変わりのような娘が欲しくて、ならない。
しかし、政宗中将は、この娘に簡単に手を出せる状況でないのもわかっているのだ。
「おとことおんなってのは、こうやって始まるんだぜ?貴族であろうとなかろうと、誰でも愛し合おうとするもんだ。舞、おまえもいつまでも赤ん坊じゃあないんだから、こうして男女の事に機微をもたなくては。
俺は本当はおまえに手を出す事は簡単だ。だがおまえは大切な娘であり、俺は娘に手は出せない。本当におまえを『愛しい』と思っているんだがな」
政宗中将は舞の髪に顔を寄せて囁くように言う。
-ああ、この髪のしっとりした感触まで夕顔を思い出させる。
-舞は必ず俺を愛する、俺は自信があった。
-だって、俺は光源氏だ。
-誰もが崇拝し、俺を憧れの眼差しで見る、光る君だからだ。
政宗中将は舞をあやしつける。