戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第19章 玉鬘の巻―政宗中将-
「もう、何年だろう…こうしてようやく会えて、落ち着いて話せるようになり、俺は嬉しい。娘として春の町へ来なさい。あっちにはまだ幼い娘もいるから落ち着かないが、春の紫も貴女に会えるのを楽しみにしているのだ」
紫の上は舞を品定めする為、会いたくてしようがないのだ。
「仰せのままにしましょう」
否定の出来ない立場の舞は、そう、答えるしか、出来ないだろう。
そして、舞が政宗中将の邸に引き取られ、六条邸に若い姫が引き取られたと貴族の間で話題になった。
政宗中将の弟宮、兵部卿の宮と髭黒の二人が熱心に文を送り、兵部卿の宮がいわゆる下馬評ではすこしく有利だった。
ある日の舞は、赤味の薔薇の細長に小袿はゆかしい橘の色。
政宗中将が訪れると、居住まいを直し、手習いに散らした料紙をそっと傍らに押しやる。
そんな姿は、まさしく、夕顔を思い起こさせる。
政宗中将は、その瞬間、父でも母でもなく、一人のおとことして、そこに居た。
政宗中将はそっと舞の手を握る。
舞は身を固くして黙ってされたままにしている。
その白い手はあくまで柔らかくほっそりしてきゃしゃで、手の形まで夕顔のようだった。
政宗中将はゆっくりちからを入れ、舞のからだを引き寄せると、黙ってそのちからを受け入れ、政宗中将にもたれかかるようにちいさなからだをうつぶせにする。
政宗中将は身に着けていた夏の直衣を、音もなくそっと脱ぎ捨てる。
舞は何が起こるのか、とからだを固くして、政宗中将の動きを見やる。