戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第19章 玉鬘の巻―政宗中将-
新年の衣装の支度をしている時、ふと政宗中将は他の女人へも衣装を贈ろうと思い立つ。
夏の町の西の対、舞には蘇芳の色が表地で、赤紫が床しい二藍を裏に重ねた澄み渡る赤色襲の袿と、上にまとう、若くきらきらしい山吹の色目の細長。
ただただ若く輝き、深みの無さを露呈させた色目に、紫の上の表情は少し翳る。
きっと舞とは、深みはないけれど輝く若さと美貌を持つ娘なのだろう、と想像したか?
全くおんなの嫉妬は、ほんのちょっとの事でも起きて、どうしようもない。
政宗中将が一番愛しているのは紫の上なのだが。
その後、ずっと政宗中将は紫の上のご機嫌とりに専念する事となった。
つつがなく年が明けた。
政宗中将は春の町で紫の上と過ごしている。
春の主、紫の上はゆったりと構え、落ち着いているものの華やぎの中に溢れていた。
政宗中将が選んだ紅梅の浮き紋の表着は、春の匂いを醸し出して艶然としており、言葉が足りぬ程の美しさを纏う紫の上に、政宗中将は今すぐ抱きたくなる想いを、隠す。
政宗中将は新年の挨拶として夏の町へも赴き、華やぐ西へ向かって、娘へ会いに行く。
あの衣装は舞にどう似合っているだろう?
はたして、舞はあの山吹色の若やかな衣装をさらりと着こなしていた。
熟さぬ色香は清楚さを前面に出し、深みの無さは娘が娘である証と見るべきか。
政宗中将はまたしても夕顔を舞に映し出していた。