戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第19章 玉鬘の巻―政宗中将-
政宗中将は夏の町から戻り、玉鬘こと舞の様子を、最愛のおんなである紫の上に伝える。
「鄙育ちだから心配したが、思った以上に美しく優雅さを持ち合わせていて安心したよ」
政宗中将の言葉に紫の上は無表情で聞いていた。
紫の上から見れば政宗中将のやっている事は、舞が他人の娘である以上、愛妾にする、と言っているようなものだ。
しかし政宗中将は愛妾にするつもりは、ないと言う。
むしろ、舞でおとこたちの様子を見て楽しみたいのだ。
「あの舞を人々に知らしめたいのだが、良い方法はないだろうか。
年頃の娘がここにいるとなったら、おとこ達の目の色が変わって、そんなおとこ達がここをどんな顔をして訪れるのか、俺は見たくてたまらない」
その発言に紫の上はあきれ顔をする。
「一体何を考えてるんです?美しい娘が邸に来た、それで良かった、ではありませんか。
それなのに、それでおとこをたぶらかしてやれ、なんて普通は考えませんよ」
政宗中将はふと思いついて、にやにやしながら、紫の上に言う。
「そういや、今思うと勿体ないことしたな。紫の上を俺のものにする前に、まず美しい娘を引き取ったと言って、おとこ達を惑わせれば良かったよ。
紫の上なら今でも十分美しくて、おとこ達を引き寄せる花として十分だからな。
ああ、本当にそういう楽しみもあったのに、俺も若かったなぁ。
当時は紫の上を自分のものにしたくてしようがなかったものなぁ」
政宗中将は両腕を頭の後ろで組んで紫の上を見ると、『いやあね』と言いながらも、まんざらでもなさそうな表情をしていた。