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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第17章 梅枝の巻―番外編-


そして、花散里の君こと三成ぎみからは「数ならぬ身の」と添えて夏の『荷葉』のみ。

控えめでいつも穏やかな三成ぎみは、紫を数滴落とした灰色の髪に、紫の瞳。

色っぽい左目の泣きぼくろがあるけれど、本人は色気の自覚のない可愛いかた、よ。

その三成ぎみの作った薫香について、政宗兵部卿の宮はこう、判した。
                                                                         
「他の三種を聞いた後では、穏やかで、夏の朝露の静けさを呼びおこし、あわれにやさしい香りだな」

次に明石の君こと光秀ぎみからは、赴きががらりと変わったものが届いていた。

光秀ぎみはさらりとした銀色の髪に、金色の瞳が印象的なかた。

しっとりした大人の雰囲気を纏い、本音を隠していらっしゃるから、私にもなかなかなじんでくださらなかったかたなの。

異国風の衣装がお似合いで、私もそういった雰囲気の着物をお贈りした事があるわ。

光秀ぎみのお作りになった薫香は、『百歩の方』と『百歩香』の二種。

『百歩の方』は、宇多邸の調法を更に進めた源公忠によるもの。

そして、『百歩香』は光秀ぎみが勘案した、甘く燻る白檀が表に出ている香り。

香取りの香炉から、白梅の忍びやかな香りが白い蝶の群れとなって飛ぶような、甘やかな幻影が匂い立つ。

「これはこれは…」

政宗兵部卿の宮もこくりとのどを鳴らした。

「これほどの優美な香をご自分で整えられるとは、並々ならぬお心映えだな。俺はこのような香は聞いた事ないぞ」
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