戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第1章 夕顔の巻-政宗中将-<R18>
愛の時を終えて、汗ばんだからだをぴったりとくっつけ、抱き合いながら横になる二人。
「…なあ、舞」
政宗中将は起きているかを確認するように、声を掛ける。
「…なぁに?」
すっかり打ち解けた風の舞は、いかにも情事後らしい甘えた声で答える。
「…聞いてくれ。俺の出自(しゅつじ)は知ってるよな?
今の帝が父上、母上は桐壺の更衣(こうい)と呼ばれた女人(にょにん)だ」
舞は抱き締められたまま、政宗中将の顔を見つめる。
政宗中将は続ける。
「父帝は女御(にょうご)や他の更衣がたがいらっしゃるのを放って、母更衣だけを愛された。
それで女人がたから…嫉妬をうけ、最後は心労で亡くなった。
その後、母上の祖母に俺は預けられたものの、その祖母も亡くなり、俺は父帝のもとへ引き取られた」
舞は初めてその過去を知ったようで、眉をほんの少しひそめながら、政宗中将の話しを黙って聞く。
「父帝は俺が亡き母更衣の忘れ形見だからと、とてもかわいがってくださり、後宮の御簾の中にも俺を引き入れてくれたんだ。
第一の勢力を持つ弘徽殿(こきでん)の女御様のところにも、母親が亡くなった可哀想な子だからかわいがってください、と言ってな」
その言に舞は息を飲む。