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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第17章 梅枝の巻―番外編-


政宗兵部卿の宮は、香匙を持ち、私の作った薫香の粒を香炉の上の葉片にそっと載せる。

『黒方』の香りが漂う中、政宗兵部卿は何の香りが聞き当てる。

「ほう…これは承和の帝の御秘伝のものじゃあないか?」

「さすが、よくお聞きになられている」

私は扇を広げ、口元を隠しながら微笑む。

政宗兵部卿の宮は私の二種の薫香を聞いた後、前の斎院のものを聞かれる。

前の斎院こと秀吉ぎみは、いつも明るく女房達から人気の高い、親しみやすいご性格と伺っているけれど、私とはお目にかかる事はほとんど、無い。

側でお仕えする女房から聞いたお姿は、こげ茶の髪の毛に、ほんの少し垂れた鳶色の瞳をお持ちとの事。

その垂れた瞳が柔らかい雰囲気を醸し出し、お話ししやすいと評判のかたなの。

でも、いとこだから親しくお付き合いしてくれても良いのに、私のものにはならない、と斎院になられ数年都を離れていらした。

だから、私と秀吉ぎみの間には何もなく、秀吉ぎみは訪問する私をいつもあっさり、そっけなく対応なさる。

一度、何故私のものになっていただけないのか、はっきり伺った事があるけれど、秀吉ぎみからはこんなお答えがあった。

「舞のものになったら、俺は俺でいられなくなるだろう。舞にまとうおとこ達の嫉妬の渦に巻き込まれたくはない。だから、舞とは一線を引いて、挨拶を楽しむだけの付き合いにしたい。俺の我儘で悪いが、今のままの付き合いを頼みたい」
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