戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第17章 梅枝の巻―番外編-
明石の娘が入内するのに合わせ、私はおとこぎみ達に薫香二種を依頼する。
古いものと新しいもの。
私の手元にあった古い沈香と白檀、そして献ぜられた新しい沈香と白檀と麝香。
それらの香木を削り、娘の入内に合わせて調香してください、と依頼をした。
新旧どちらが慕わしい香りを放つかしら?
さまざまな樹脂や香草を練り、一つの薫香として製される。
その香りは作り手の趣きを表すでしょう。
さぁ、私の愛しい姫ぎみ、明石の娘に似合う香を作るのはどなた?
私は最愛のおとこぎみ、紫の上こと家康と競うように、作る薫香の製法を知らせまい、と几帳や屏風を幾重にも立て回し籠って調香に熱中する。
私が作るのは『黒方(くろほう)』と『侍従』。
家康も『黒方』と『侍従』。
おとことおんな、同じものを作るけれど、どちらに軍配が上がる?
ある日、私のところにいらしたのは、政宗兵部卿(ひょうぶきょう)の宮。
彼は私の腹違いの弟。