戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第15章 空蝉の巻―信長中将-<R18>
貴様には俺を嬲った罪を背負ってもらおう。
空蝉の身を変え行ける木の下に なお人殻の懐かしきかな
舞は持ち去られた小袿に思いを馳せる事だろう。
汗をかいて、見られたものではない、皺だらけの小袿。
そんなものを信長様は持ち帰られたのか―
今更取り繕えない抜け殻を思い、羞恥に悶えると良い。
そして舞は、贈った俺の歌の横に、自らの想いを書きつけたと後で、小君から俺は聞いた。
空蝉の羽(は)に置く露の木隠れて(こがくれて) 忍び忍びに濡れる袖かな
俺は泣かぬが、貴様は泣くのか。
では、泣かぬ俺の勝ち、だな。
しかし、この、恋とは言えぬ俺にとっては屈辱の恋は、俺にはやはり舞を二度と抱けなかった想いが残る。
この想いは何だ?恋や愛ではない。
きっと、これが悔しさ、という事か。
俺に抱かれるのを最後まで拒否した、ただ一人のおんなに対して。
貴様は泣く事で俺に勝ったのだ―
そして俺は貴様に負けた事で、貴様が伊予の介についていく時に、あの空蝉として持ち帰った小袿を返してやった。
伊予の介を頼って生きていく事を選んだ、貴様の生き様、見てやろう…
〈空蝉の巻 終〉