戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第15章 空蝉の巻―信長中将-<R18>
薄紫の二藍の小袿をしどけなく打ち掛け、下は紅の袴の腰のきわまで胸乳をさらした姿だった。
豊満なからだ、水をはじくような瑞々しい白いからだからは、汗をかいた若い娘のもつ、若い獣のようなにおいが、離れたところにいる信長中将にまで漂ってくるようだった。
見た目だけなら文句無しだが、信長中将にはてきぱきすぎる実務家のような性格が、好きにはなれなかった。
『この娘に落ち着きが加われば文句ないのだがな』
そう思った。
やがて二人は碁を打ち終えたようだった。
衣擦れの音がし、おんな達が寝殿の四方へ散って行った。
夜更けて周辺が静まり返る。
小君は寝殿の角の妻戸を叩いて、中から開けてもらい、入っていく。
「ぼく、ここで寝ようっと」
妻戸は閉じられ、奥から小君の声だけが聞こえた。
しばらく寝入った振りをした小君はやがてゆっくりからだを起こし、そっと信長中将を引き入れる。
母屋の几帳の前に辿り着き、信長中将は先程上げてあった几帳の垂れを引き開けた。
信長中将の衣は、ほとんど音がしないよう着慣れたものを着ていたのだが、いつもと違う聞きなれない衣擦れの音に、舞だけは気が付いたのだった。
舞はぼんやりと、聞き慣れない香に気付く。