戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第15章 空蝉の巻―信長中将-<R18>
姉は一切返事を拒む事にする。
「このお文は人違いです」
その一言でばっさりと小君への対応を打ち切る。
事の顛末を小君から報告され、あのおんなの思った以上の強かさに、信長中将は少し見くびっていた認識を改めた。
「仕方ない、もう一度文を書くから、必ず次は返事を持って参れ」
信長中将は、使いをまともに果たせず小さくなっている小君に話しかけると、少年は顔を上げ、嬉しそうに瞳を輝かせ、次は必ず、という表情をした。
しかし、何度文を送っても、小君は毎回返事を持ち帰る事はなかった。
俺を、誰だと思っている?
受領風情の後添いとなったおんなに、何故ここまで見くびられなければならないのだ。
ここまで強情が過ぎるおんなを始めて知った。
信長中将はこうなると、絶対、もう一度あのおんなを抱きたいと意地になる。
方違えという機会が再度やってくる。
また信長中将は紀伊の守の邸へ行き、おんなと会う段取りを小君とつけようとした。
しかし、おんなは全く埒があかない。
信長中将は歌を詠み、小君へ姉のところに持って行くようにした。
帚木(ははきぎ)の心も知らず園原の 道にわりなく迷いぬるかな
おんなからの返事があった。