戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第15章 空蝉の巻―信長中将-<R18>
少年の声が、した。
「失礼します、どちらにいらっしゃいますか?」
どうやら、先程見た亡き衛門の督の子のようだ。
「…ここですよ」
一瞬の間を置いて、小さくおんなの声。かなり近くにいるようだ。
「お客様はもうおやすみ?近いから気になったけれど、結構離れていらっしゃるようね」
おんなの声が少年に問う。
同じ建物の中を東西に障子で隔てただけの空間だから、実はおんなが思った程、離れてはいない。
「源氏様は廂の間でおやすみになられました。本当に凛々しくて男らしい美しさで、驚くと同時に見惚れてしまいました」
少年は俺の事をこのように思っていたらしい。
「そう…昼間なら隙見(すきみ)させていただくのだけどね…」
おんなはそう言い、夜具を被ったらしく、最後の言葉はよく聞こえなかった。
俺はにやりと片頬を歪めて笑む。
俺を隙見すらせず無視するのか。ならば、無視出来ないようにさせてやるのみ。
少年は移動して、部屋の隅に行って横になったらしい。
「そういえば…中将の君はどこ?近くに人が居ないと怖いわね」