戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第15章 空蝉の巻―信長中将-<R18>
しばらくして、一度信長中将の前をさがった紀伊の守が、一族のこども達を連れて侍う(さぶらう)。
ひとり、面差しが違うこどもがいるのに、信長中将は気付く。
「亡くなった衛門の督(えもんのかみ)の子でございます」
「どうして衛門の督の子が、ここにいるのだ?」
「父、伊予の介の後添いのおんなが、この衛門の督の子の姉でございます」
なかなか頭の良さそうな顔をしているが、紀伊の守は自分の子の地位をあがらせる事に精一杯で、この子の事まで気に掛ける余裕は無いらしい。
「衛門の督は、その娘を宮仕えに入内させようとしていたらしいな。それが衛門の督が亡くなり、こうして伊予の介の後添いとなって、姉の運命、縁とはわからぬものだな」
信長中将は、そんな中の品のおんなの風情を知りたくなる。
しかし紀伊の守は実直で、おんなたちは下屋(しもや)に下がらせ、信長中将に近づけさせないようにしていた。
夜は更ける。
皆、寝静まり、森閑の中、信長中将の赤い瞳がぎらりと光る。
『おんなを襲う』
信長中将の昂る熱は、それを冷ます相手を求めてやまない。
信長中将は息を凝らし、誰か動くのを待つ。
そして、動いた者がひとり-