戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第13章 葵の巻―光秀中将-<R18>
六条の尊い身分のかたには御娘がいらっしゃるから、お子を産めるかたなのは一目瞭然。
だけれど身分低い女に、私の女房達。
二条にお引き取りになった女人、と、誰も懐妊したとは聞かない。
「舞姫様はご幸運だからですよ」
乳母は言う。乳母は何かにつけて、私が幸運だと言う。
父上は左大臣で、母上は降嫁した元皇族で、当代文句の全く出ない、立派な家柄だそうだ。
自分ではわからないけれど、私は家柄に加えて見目も良いらしい。
乳母が私の髪を梳きながら、美しい、とよく言っていたわ…
「舞、様子はどうだ?」
光秀様がご公務の合間を縫って、また今日もいらしてくださった。
毎日来てくださると、少しずつお話しが出来るようになってきた気がするの。
「今日はつわりも少なくて、昨日より元気だと思います…」
自分で言うと、光秀様はことのほか喜んでくださる。
「舞が自分の口からちゃんと話してくれるのは良いな」
「…さようですか?」
「前は女房が代わりにしゃべってただろう?」
「あの頃は、私は、どうして良いかわからなかったんです」