戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第13章 葵の巻―光秀中将-<R18>
「舞…何て可愛いのだろう…これからはもっとそういう事を、直接俺に言いなさい。俺はそういう貴女の可愛い本心を、もっと聞きたいのだ…」
私を抱き締め、囁く光秀様の横目でちらりと見ると、光秀様の妖しい眼差しが、でも暖かく私をご覧になっていた。
そして、光秀様は早速周囲に手配をなさる。
「ご祈祷を。名僧をどんどん集めて、舞が無事、身二つになれるよう、祈らせるのだ」
「かしこまりました」
「女人にお子が出来ると、妖(あやかし)が跋扈(ばっこ)しやすいからな。金に糸目はつけずに祈祷をしっかりさせるのだ」
「かしこまりました」
呼びつけられた光秀様の家臣達は、すべき仕事を瞬時に理解し、すぐさま動き出された。
父も立派なかたたちをお集めくださったけれど、光秀様が父以上に名僧をお集めになられ、屋敷の一室にご祈祷の祭壇が作られ、護摩を焚き、汗みずくになって祈る人たちでいっぱいになった、と女房から様子を聞いたわ。
ようやく出来た、光秀様のお子。
この、お子に、何かあったら、一番困るのは光秀様。
だから、光秀様は、今まで以上に私を大切にしてくださるようになった。
ほぼ毎日と言っていいくらい、私の許へお越しくださるようになった。
懐妊するとこんなに様子が変わるなんて、わかるけれど、わからない。
どうして、たまさかにお抱きになる私にお子が出来たのか、わからない。
だって、光秀様には、たくさんの女人がいらっしゃるのですもの。