戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第13章 葵の巻―光秀中将-<R18>
貴族で子が出来ないのは、次の世代を継ぐ者がいない事。
どれだけ栄華を極めても、一世代で崩れてしまう事。
「ありがとう…」
ところが、光秀様は几帳を引き上げ、ずいと中に入られ、私の手を握って礼を言われる。
「ありがとう、良い子を産んでくれ」
驚いたのは私、どうして御礼を言われるのかしら?私が光秀様のお子を宿したから?
「…どうして…御礼をおっしゃるのですか…?私だけが光秀様のお子を身ごもったからですか?」
私は思い切って、光秀様の顔を見て、問い掛けた。
すると光秀様は目を見開いて、信じられないような顔をされ、私の手を更にきつく握る。
「何を言っている…貴女は私の妻だ。妻が懐妊して喜ばないおとこがいるのか?」
「…でも、光秀様には、たくさん愛をお掛けになるかたがいらっしゃるではありませんか」
とうとうみっともない言葉を告げてしまった。
でも、その私の言葉に光秀様はかえって表情を変え、余裕を湛えた笑みを浮かべた。
「ああ、貴女は嫉妬なさっていたのか…何て可愛いのだろう。もっと前からそんな言葉を聞きたかったものだ」
私は嫉妬していた、という自分の心に驚き、恥ずかしくなり顔を背け、でも、光秀様は私に覆いかぶさるようにして、私をぎゅっと抱き締めてくださった。