戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第13章 葵の巻―光秀中将-<R18>
光秀様は、たまさかに私のところへお越しになり、私を義務のように抱いてくださる。
そう。正妻だから。
ところが。
他の女人になかった事が、私の身に、起きた。
光秀様が急がれた足取りで私の前にお越しくださった。
いつもは優雅な挨拶をゆったりとした態度でなさるのに、今日は違っていらした。
「懐妊したのは本当か…!?」
見た事がない、とても驚かれたお顔に、近侍する女房が微笑んで答える。
「はい、舞姫様にはめでたくご懐妊あそばしました」
それを聞いた光秀様は、信じらないとばかりにお顔を何度も左右に振られた。
どれだけ浮名を流しても、今迄不思議と光秀様にはお子がお出来にならなかった、から。
私も信じられない思いでいっぱいだもの。
どうして、愛されていない私に子が出来たのかしら?
愛されていないから子が出来た?家と家をつなぐ鎹(かすがい)として、子が出来た?
そう思わなければ、私だけに子が出来た理由が無いもの。
光秀様は、横になる私の前で、信じられないといった表情を浮かべたまま、私を御帳台の外から見つめるばかりだった。
私はその光秀様から顔を背けて、受け入れていただけない事実から目を逸らした。