第1章 1
「youさん?」
美咲ちゃんの呼びかけで、僕はハッと我に返った。
「あ・・・ごめん・・・」
どうやら僕は、ケータイを握り締めたままぼんやりとしていたようだ。
───さっきから頭が動かない。
「youさん、お疲れなんじゃないですか?」
「・・・え?」
「きっと疲れているんですよ。何か、声がぼんやりしてます」
美咲ちゃんが心配そうに言う。
「お仕事、最近ハードだってこの前ka-yuさんが言ってましたし。しっかり休んでますか??」
「・・・・・・うん、休んでるよ」
「その間が気になるんですよ・・・」
「大丈夫やって。それにハードって言ったら僕だけやないし。どっちかと言うと、yasuの方がハードやろ」
「今はyouさんの話をしているんです!!」
・・・・・・怒られた。
「そんなんじゃあ、良い演奏も出来ないし、良い曲も書けませんよ!!」
「うっ・・・・・・」
今、曲のことを言われるのはキツイ。
僕は息を吐き、目を閉じた。
「今日はもう休むこと。良いですか!?」
「・・・はい・・・」
美咲ちゃんから命令が出た。
さっきまで静かで丁寧な敬語だった美咲ちゃんは、一体どこにいったんやろ・・・。