第1章 1
美咲ちゃんはそんな僕の声を聞きながら、もっと困っているに違いない。
「美咲ちゃん、かけ直す時にリダイヤルは使ったらあかんで?」
「あっ!」
彼女が電話の向こうで、短く声をあげた。
・・・・・・やっぱり、リダイヤル押したんやな・・・。
「す、すみませんでした・・・」
小さな声で、美咲ちゃんが謝る。
・・・可愛いなぁ・・・。
「今度こそ、しっかり番号を確かめてかけますね」
「ん、そうしてや。・・・で、kiyoに何か用事やったん?」
「はい、今日の夜中に『流星群のすべて』っていうテレビ番組があるんですけど、私の家の方は放送されなくて・・・。それでkiyoさんにお願いしてみようかなって思って・・・」
『流星群のすべて』・・・美咲ちゃんも星好きやからな・・・。
「それやったらわざわざ電話せんでも、多分もう録画予約してあるんちゃうかなぁ・・・kiyoのことやし」
「ホントですか?あー、それなら良かったぁー」
嬉しそうに、そして安心したように深く大きく息を吐いた美咲ちゃん。
ホンマ可愛いなぁ・・・。