第2章 第1章 旅立ちまで
朱里が寝静まる、夜中の時間。
夕飯の時間に賑わいを見せていた食卓は雪絵とその旦那である秋紀が2人で座り、静まり返っていた。
「雪絵、これは本物なのか?」
「多分、そう...」
コトンと音を立てて食卓に置かれた『宝晶』が倒れた。
今、2人は朱里が持ってきた宝晶とその能力について話していた。
雪絵は昔、宝晶を見たことがあるのとその類稀な観察眼を疑うことは秋紀しない。
天才的な観察眼を持つ雪絵を見つけ、王宮付きまでに育てたのは秋紀の父だからだ。
だからその目が見た物を偽物とは思えなかったのだ。
「ねぇ、秋紀。私、嫌だよ...」
雪絵は頑なに事実を受け止めようとしなかった。
それは、この国が古代生物を復活させてから守り続けられている唯一の決まりがあるからだ。
【宝晶を見つけることの出来る能力を持つ者は国直属の教育を受け狩人へとならなければならない】
それだけ古代生物の維持は国が重要視しているのだ。