第2章 第1章 旅立ちまで
「ねぇ、潔子。」
「なに、朱里。」
なにもないただ広い草原で寝転ぶ2人の少女。
少女たちは固くお互いの手を握りあっていた。
まるで何か離れ難い事があるかのように。
「潔子、私は狩人の能力がある。」
「うん。気付いてたよ。」
「私は国で勉強したい。狩人になりたい。」
「うん。知ってるよ。」
「でも、お母さんやお父さんはそれを頑なに拒んでるの。だから私が5年前に見つけた宝晶をまたこの草原に戻した。」
「......そう。」
「確かに離れたくない。それはわかるの。5年前、両親が夜中に泣きながら宝晶、能力、狩人、この3つをずっと言っているのを聞いて、知りたくて知りたくて勉強した。」
「...うん、それで?」
「全てを知ったの。両親が泣いてた意味も、宝晶を捨てた意味も、国のことも。」
「............」
「それを知って私は変えたくなった。能力を持つ者しか求めないこの理不尽なこの国を。それをするには私が国へ行き、知ることが1番だと私は思うの。」
朱里は自らの思いを赤裸々に語った。
それは偽りのない朱里の本心であり、両親が最も望んでいない結果であろう。
それは潔子もだが。
朱里はそれを重々承知していた。
だが、朱里は話したのだ。
自分が1番信じている親友、潔子に。