第1章 偉大な海賊
我ながら随分な言い様だ。だが言葉が止まらない。
ジャックは気にする風でもなく、もう一度大きく酒を煽った。
そして再び目を見つめる。
「その期待してた出来事ってのが冒険や伝説の類なら、俺のとっておきの冒険談をいくつか聞かせてやってもいいが」
なんだか今度は目を逸らしたら負けのような気がして、見つめ返した。
「・・・どんな話?」
「じゃあ、呪いを受けて絶対に死ねない身体になった海賊達の話なんてどうだ」
「それってまさか、アステカの金貨の呪いの話?」
「知ってるのか?」
「お母さんがそれについて調べてたことがあったから・・・その話なら、詳しく聞きたいんだけど」
ジャックはくるりと身体を返すと、酒の瓶を持ち上げた。
「まあとりあえず一杯やろうぜ。長い話だ」
私は黙ってそのあとに着いて歩いた。