第34章 三成、茶屋へ行く
「違いましたか?」
三成は、間違っていたか、と首を傾げる。
「ううん、間違って、ないよ。
葉月さん、ここで働いているんだよ」
驚きながら舞は肯定する。
「やっぱりそうですか!」
満面の笑顔で声を当てた事を喜ぶ三成。
持ち帰り用の羊羹が無くなった事で、買えなかった人が帰り、一気に人が少なくなる。
「三成くん、とりあえず…お団子か羊羹、食べようか」
舞は、三成が声を当てた驚きを収められないまま誘い、茶屋の腰掛けに並んで座る。
春が舞の姿を見て挨拶に来る。
「舞姫様、また足を運んでくださりありがとうございます。
石田様が今日はご一緒なんですね」
「はい、私は、今日は羊羹をお願いします。三成くんは?」
「私も羊羹でお願いします」
「はい、お待ちください」
春が引っ込んでお茶と羊羹を持ってくる間、舞が政宗と来た時と同様に、葉月が持ち帰り用羊羹を売っていた場所を片付け始めた。
「舞様、ちょっと失礼します」