第32章 茶屋に行く
「おまえには俺が料理を作ってやるよ。
代わりにおまえは俺に着物を縫ってくれれば良い」
「…う、わかってる、ありがとう、政宗」
かっこよすぎる笑みに、照れて赤くなる舞だった。
「さ、俺達も戻るか」
二人は立ち上がり、政宗は二人分の銅貨を腰掛けに置く。
「ごちそうさん」
「ごちそうさま」
二人は春に声を掛けて、茶屋を後にする。
「ありがとうございました。またどうぞ」
春が後ろ姿の二人に、声を掛けた。
二人の影法師が長く伸びて、日が落ちるのが早くなっているのを物語る、秋の景色が見られた。
木々の葉も黄色や赤と、秋色に変化を始めている途中だった…