第31章 4人で相談
「朝も早くに御殿を出て行って、夕刻帰ってくると、夕餉も食べず倒れるように寝ているらしい」
「それ、本当に毎日倒れてるんじゃないか」
政宗も口をへの字にして眉を寄せる。
「俺もそう思う。
だが、本人は、自分の作った羊羹を安土名物にしたいらしく、がんばっている、らしい」
「なるほど、安土名物か」
政宗は腕を組む。
「まぁ…今のままでいてもどうにもならないし、とにかく、一度、三成を連れていくか」
そのまま政宗が、思いついたように話す。
「これだけ面白い事なら、家康も巻き込んでやろう。
あいつの嫌がる顔が目に浮かぶ」
「政宗…家康の嫌がる事、したいんだ?」
舞が呆れて言う。
「嫌がる事をしたい訳じゃない。面白い事に巻き込むんだよ」
きちんと政宗に訂正され、舞は更に呆れたように、大仰にためいきをついた。
そして、舞の部屋に、家康が呼ばれてやって来た。
「なに?舞」
家康は声を掛け襖を開けるが、秀吉と政宗の姿も見掛けて、回れ右をして帰ろうとする。