第4章 名字は上杉
よくわからない理由に驚きながら、叫ぶように言う。
「…っ、だからっ!どういうこと、ですか…っ。
上杉って名字が悪いんですか…っ!」
秀吉はあっさりと肯定した。
「そうだな。この安土で上杉を名乗るとは、度胸は褒めるがそれまでだ」
上杉という名字だけで悪と決めつけられ、混乱する。
「じゃ、おまえも安土城に来てもらおうか」
「…安土…城?」
『城って…安土城、もうないよね?』
眉をひそめる葉月に、秀吉は、顎をしゃくるように背中越しに見える大きな城を教える。
「ほら、あれが安土城。おまえたち上杉の敵、織田信長様の居城だ」
「…上杉の敵…?おだ…のぶ…な…が?」
しばらくその言葉を反芻した後、葉月は絶叫する。
「おだ、のぶ、ながぁ?????」
その叫び声に、秀吉も目を瞬かせる。
「何を白々しい。わかっていて安土に来ているのだろう?」
「?え?え?え?」
葉月は完全に頭の中がハテナマークだらけになる。