第4章 名字は上杉
『とよとみ、ひでよし・・・?』
『戦国時代の人、だよね?』
『同姓同名な人って事?』
『でも、この人の恰好も・・・何か違う?』
豊臣秀吉、と、歴史上有名な武将と同じ名前の男性に、どこまで自分の事が通じるのだろう、と、思いながらもまず問われた名前を答える。
「上杉葉月です」
名乗った瞬間、秀吉の表情が変わる。
「おまえ、上杉の者か!」
「え…上杉の…者??」
問われた意味がわからず、聞き返す。
「上杉の者ならおまえも連れて行く」
がしりと秀吉に右腕を掴まれ、木刀を取り上げられる。
「あ…あの…?」
ズルズルとひきずられ、どこかへ連れて行かれそうになるのを、足を踏ん張って止めながら葉月は必死に言う。
「いったい…なんなんですか…!
私がなにを…したっていうん…です…っ!」
秀吉は足を止め、振り返ってびたりと言う。
「おまえ上杉の者なんだろう?それだけで怪しい」