第25章 三成の気持ち
翌日、城の書庫で色々な本を漁っていた三成を見付け、秀吉が話し掛ける。
「ちょっと、聞きたいけど良いか?」
「はい、なんでしょう?」
手を止めて、三成は秀吉の顔を見る。
「俺のところにいる葉月だが、なぜあいつに目を掛けた?」
「目を掛けた?そういうつもりはありませんが」
驚いたように三成は否定する。
「でも井戸で水汲みを手伝ってもらったと言ってたぞ」
「ああ」
紫の瞳が揺らめくが、すぐ自信なさげに言った。
「何故でしょう…自分でも理由がわかりません」
「理由がわからない…?」
「葉月さんを見たのはその時が二度目でした。
初めて見たのは、彼女の言う剣道形とやらを稽古している姿です。
…正直私にはわかりません。
何故葉月さんの姿だけは目に入るのか」
「葉月の姿だけは目に入るのか…」
秀吉の問いかけに素直に返事をする。
「はい。何故でしょう…」
それこそ―