第24章 どう思う?
「ええと…お目にかかる前からお名前は存じてました。
こちらの女中さん達が、三成様がいらしたときに大騒ぎしてましたから」
「ふうん」
「竹様に頼まれて、忘れ物の本をお届けに伺ったとき、あちらの女中さんから睨まれました。後で、その女中さんは、三成様をお慕いしているから、訪れる年頃の女には、そういう態度を取るのだ、と聞きました」
「へえ、そうなのか」
初めて聞いた事に、興味を示す秀吉。
葉月は話しを続ける。
「その様子から、さぞ秀吉様や光秀様のように人気のあるかたなのだと思いました」
それは間違いない、と秀吉は思う。
「私が初めてお目にかかったのは、ここの井戸で水汲みをしていた時でした」
「水汲み?」
「はい。水汲みに慣れていない私を見兼ねたようで、つるべを引き上げるのを手伝ってくださいました」
「待て。三成が水汲みを手伝ったのか?」
「はい、そうです。でもその時は三成様だとは知りませんでしたが」
「…」
すぐに言葉が出ないまま秀吉は驚く。
「今まで、すぐ隣に、何かに困ったおんながいても、全く気付かず通りすぎていた三成が、水汲みを手伝った…」