第191章 懐かしい時代
「そう。洋装…異国の風習が入ってきて動きやすい恰好のものを着ているよ」
「まぁその姿を見ればわかるけどねぇ…」
春は着物がすたれているという未来の状況に、信じられないと言わんばかりに首を振った。
「ばっ!ばっ!」
成が何か自分にも食べさせろ、と言わんばかりに両手を抱っこひもの横からぶんぶん振る。
「あ、どうしようかな。お団子はまだ危ないから食べさせられないし…一歳前後の子ってこの時代は何を食べさせてるの?」
成の事を忘れていた葉月は、何を食べさせているのか聞いてみる。
「そうね…成様くらいなら…」
春が答えようとした時、外から富弥の息せききった声が聞こえた。
「…ぉーい…」
「あの声は富弥だね?」
春と成を連れた葉月は外へ出る。
富弥が走って戻って来る姿が見え、その後ろからー
その姿を見て葉月は目を見開く。
灰色の髪を振り乱したその姿に-
口をぱくぱくさせて、ようやく葉月はその名前を呼んだ。
「みつ、なり…さま…!」