第191章 懐かしい時代
春は頷き、三成に似た成の顔を覗き込む。
「既に器量良しの顔をしているね。将来が楽しみな美男子になりそうだよ」
「…うん…私もそう思う…」
葉月があっさり同意したので、春は「まったくあんたは遠慮が無い」と笑った。
そして、春に手を引かれて葉月が茶屋へ入ると富弥が奥から表れる。
「おいおいおい…これは…」
絶句する富弥に春は言う。
「ちょいと、ぼんやりしてないで、急いで三成様のお屋敷へ行ってきておくれ。いらっしゃらなかったら安土城だよ。火急の用だと言えば、三成様がすぐ会ってくださるはずだからね」
春に言われ、富弥は我に返る。
「よし、ちょっくら行ってくるわ」
そう言うと三成へ知らせに走って行ってくれた。
「お茶でも飲みなさいな」
ちょっと待っていて、と春は奥へ行き、お茶と自慢の団子を持って戻ってくる。
「成様は何が食べられるの?」
と春に聞かれ、様付きで呼ばれる事に葉月は驚く。
「様って成に様はいらないよ…?」
春はそれには首を左右に振る。