第191章 懐かしい時代
夢、ではない。
葉月は目の前の光景を瞬きもせず見つめる。
前に抱っこした成は、一緒にいたはずの人たちが目の前からいなくなった事に不思議そうに「だぁ?」と声をあげた。
目の前の光景は、まさしく、過去の時代。
「あらあら…葉月?」
声を掛けられ振り向くと、そこには茶屋の春の姿がいた。
「…春さん…!」
葉月は春に近付き、途中、安堵したようにへなへなと座り込む。
「ちょ…どうしたの」
春が座り込む葉月を見ると、半泣きの表情で葉月は春を見る。
「だって…違うところに…来たのかと…良かった…戻れて…」
その様子を見て春は優しく笑う。
「そうだね、ある程度の事は聞いているよ。さ、こっちへおいで…ってこの子が三成様の子?」
前に抱かれてきゃっと喜ぶ成を見て春は問う。
「うん…成っていうの」
「成…三成様の成かい?」
「そうだよ」