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イケメン戦国 「めぐり逢い」

第185章 さよならの朝


弥生はコーヒーを受け取ると、湯気と香気を顎に当てながら言う。

「私たちはあんたたちを歴史の中でしか追い掛けられない。それもたぶんわかるのは石田三成が歴史上何をしたかだけで、どんな生活をしたか、あんたや成がどういう考えをしていたかまではわからない。だから、なるべくあんたは生きている間に文字を残しなさい」

弥生の言葉に葉月は目をぱちくりさせる。

「手紙というか日記…そう、清少納言や兼好法師のように日記を書きなさいよ。詳細に…どんな生活を送り、どんな考えをしたか、それが石田三成の妻が書いたものとして現代で見付かれば、それがあんたが書いたものと私たちにはわかるでしょ?どこかであんたの書いた日記が展示される時、私たちはそれを見に行って、あんたや成の生き方を追い掛けるから」

「そうか…そうだよね…考えもしなかったけれど…」

弥生の言葉に葉月は大きく頷く。

「戦国に行ったら日記を書くね。細かく…何をしたか、何を食べたか、どんな色の着物を着ていたか、人々の生活や咲く花の種類とか…小さい事も書いてこの未来で暮らした事を伝えるよ」

「そうそう」

そんな会話をしていると両親が成と共に着替えて食卓へ来たので、葉月と弥生は朝食を両親と成へ出した。

「ごっ!ごっ!」

ごはんを前に相変わらずばんばんテーブルを叩いて喜ぶ成を見て、両親はいつも通りの笑顔を見せている。

「はい、成、いただきますは?」

両手をぱちんでしょ、と葉月は成の前でやってみせると、成も小さな手を合わせて「いっ」と真似をした。
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