第184章 ボールペン
「どういうこと?」
「戦が好きなのは知ってるよね?だから構って欲しいと、愛刀を振り回して追い掛けてくるんだ」
「…愛刀…って刀…だよね…え…つまり…本物の刀を振り回して追い掛けるって事?」
言われた事を理解しつつ舞は瞬時に青ざめる。
「ん、まぁね。それから逃げるのが俺や俺が巻き込む幸村」
「え…えぇ…」
瞬時に城の廊下を愛刀を振り回して追い掛ける白皙の上杉謙信と、その前を二人でぎゃぁぎゃぁ言いながら逃げる佐助と真田幸村を想像し、舞は吹き出した。
「…ごめん…でも…想像したら…笑える…」
両手を口にあててくすくす笑う舞に、佐助はわかっているとばかりに小さく笑い、残りの羊羹を口にしてから言う。
「まぁこれも訓練だと思っているからね。おかげで俺は立派な軒猿になれた訳だし」
それを聞いて改めて舞は改めて感心する。
「そうだよね。たった四年で上司の片腕になれるくらいの忍者になっちゃうんだもん。相当訓練が大変だったって事だし、それについていけた佐助くんも相当な運動神経の持ち主って事だよねぇ」
「そういうこと、にんにん」
佐助の得意の台詞が出て、二人で顔を見合わせて笑ったところで、手の空いた富弥がやってきた。
「やぁ、お待たせしました、何の用ですかぃ?」