第23章 茶屋へ行く
「あんたは?」
問われて急いで答える。
「先日、こちらが武士の人に乱暴されたとき、手を出した木刀おんなです」
「…ああ、あなたね。どうしたの、いまさら」
「それより、どこか具合が悪いんですか」
「この間、突き飛ばされてね、すっかり腰を悪くしちゃったのよね」
あんまり動けなくてこの有り様よ、とおばさんは苦笑する。
「あの、そうしたら、私、お店を手伝わせてください!」
思わず身を乗り出して言っていた。
「…え…なぜ、あんたがここを手伝う必要があるの?」
「私、信じてもらえないけど」
と言って、ここに時を超えて飛んできたこと、今は秀吉様の御殿にお世話になっているけれど、自活するちからをつけたいこと、怪しまれていて完全ではないけれど、ようやく誤解が解けたことなど、延々と話した。
何故か、この人なら、という思いがあった。
長い話しを聞いてくれたおばさんは、ふうんと一言つぶやいた。
「つまり、どこか遠くから来たあんたは、武将のかたがたに怪しまれ、ようやく誤解が解けた。
そこで元に帰れないなら、自活する道を見付けないとならない。
私を手伝ってそれを覚えたい、で良いのかい?」