第23章 茶屋へ行く
特に何も言われていなかったので、例の茶屋へ寄ってみる事にする。
『寄り道しちゃいけないって言われてないもんね…』
たぶん、武将の皆様は軍議に入られている。
わざわざ寄り道の事で軍議を止めてはいけないし、葉月の立ち入っていい場ではないので、そのまま一人で行く事にする。
『まぁ、まだ怪しまれているなら、誰か付いてきているよね』
城から出て茶屋へ向かう。
こちらに飛んできてから着ている、紫苑色の格子柄の着物はすっかり着慣れている。
しばらく歩いて茶屋を見つけた。
だが、店を開けている様子がない。
「ごめんください」
恐る恐る声を掛ける。
しばらくして、「誰?」と声がかかる。
「えーと、失礼、します」
思い切って中へ入って、奥の声のほうへ進む。
茶屋のおばさんは薄い布団に横になっていた。
「あの、どうしたんですか?」
思わず寄って声をかける。