第182章 間もなく
三成の様子を佐助に伝えると、佐助はおやおや、と片眉をあげる。
「三成さんがそんな状態で大丈夫かい?戦だって終わっている訳じゃないんだし、安土のどこかで何かが今すぐ起こってもおかしくはないのだから」
佐助の諜報能力もたいしたものだ、と舞は感心しながら言う。
「佐助くん、安土に来たばかりなのに、もう、何か掴んでるんだね。でも今回は既に光秀さんが動いているみたいだから、三成くんの出番はないみたいだよ」
「光秀さんが動いているならノープロブレムだな。あの人は俺たち軒猿並みに嗅覚が働いている人だから」
「嗅覚って…」
舞が聞くと佐助は「あぁ」と言って教えてくれる。
「匂いって意味じゃなくて、この場合は戦に対する感覚っていう事だから」
「あ、そうなのね…確かに光秀さん、そういうの隠して動くみたいで、よく秀吉さんが怒ってるなぁ…」
「秀吉公に怒られるなんてうらやましいな。俺も怒られてみたい」
佐助がうっとりとして言うのだから、舞は疑いの眼差しを佐助に送る。
「え…佐助くんてそういう趣味があったの?」
佐助は一瞬ぽかんとするものの、言われた意味に気付いてくすりと笑う。
「舞さんからそういう発言を聞くとは思わなかったな。普段穏やかな秀吉公が怒るなんて、どんな風に怒るんだろうって思ったんだけど?」
佐助に突っ込まれ、舞は少し頬を赤らめると「佐助くんって案外意地悪なところがあるのね」とわざとむくれてみせた。