第181章 別れの準備
日々が過ぎ、ワームホールが開く日が近づいてきた。
荷物を準備した葉月は何となくそわそわと、落ち着きのない様子だった。
「ちょっとぉ。それじゃあ、バレバレ」
弥生に言われ、「そう見える?」と改めて聞くと、思い切り弥生は首を縦に振った。
「落ち着きなさい。出来ないかもしれないけれど、そうするしかないでしょ」
成が弥生の足元にきて、立ち上がってなにやら指しながら言う。
「やっ、やっ」
「んん?どうしたの、成」
弥生は腰を曲げて成を抱き上げると、成はにこにこしながら弥生を指さして「やっ」と言う。
「あぁ、おねえちゃんのこと、弥生って呼んでるね」
葉月が通訳をすると弥生は目を丸くして、目の前の成を見る。
「あー、そうか、しゃべれるようになったんだ。じゃあこの人は?」
そう言って弥生は葉月へ成を向ける。
「おかっ、おかっ」
「ママにしてないの?」
成の言葉に疑問に思った弥生が問うと、成程という理由が返ってきた。
「そのつもりだったけれど、戦国で『ママ』は通用しないでしょう?だから最初から『おかあさん』にしておこうと思って」